皆さん、こんにちは。
医療法人財団ひこばえ会理事長の糸氏です。
皆さんには、何より「セツルメント」という名前に「何の意味?」と戸惑われる方がほとんどかと思います。
当診療所の詳しい由来や歴史は奥が深く膨大な量になりますので別にご説明します。是非ご覧になってください。端的にいうと、戦後に学生が中心となり、当時貧しかった地域住民に対する救済活動、即ちセツルメント運動が礎となっています。その活動は、医療のみならず、子供への教育、法律相談と多岐にわたっておりました。
このセツルメント運動を元にセツルメント診療所が開設されたのが昭和28年ですから、昭和35年生まれの私が生まれる前の話です。私とセツルメント診療所との出会いは、外来のバイトに来てからでした。富山県出身で金沢大学を卒業し脳外科に入局し東京大学に研究生として在籍していた私は、バイト先として先輩からセツルメント診療所を紹介されました。
当時はまだ30才前で血気盛んでした。医療と言えば「最先端医療」しかないと思っていましたから、通院できなくなった方に往診し、生活に困った方にはボランティアで弁護士が法律相談にものってあげ、外科的手術まで対応する活動の幅にびっくりしました。
また、友の会という患者さんの会があり、会合では政治談義が白熱し、親睦会では飲んで歌ってと、医療を中心に「生活を守り、楽しい人生をおくる」更には「日本に次の世代に絶対 戦争は起こさせない」という強い意識がありました。
私見ですが、私達が幸せに人生を過ごすことができる要因には三つの大切なポイントがあると考えています。
即ち「健康」「愛情」「お金」です。
勿論「戦争の無い平和」が大前提で、これがなければ健康も愛情もお金も意味がありません。
「愛情」は博愛の意味です。家族からの愛情、隣近所からの愛情、所謂「会見互い(あいみたがい)」という助け合いの愛情、これがなければ身体が健康であっても、幸せな充実した日々は送れないでしょう。
「お金」については最近益々、生活苦から健康が犠牲にされる恐ろしい時代です。検査費、薬代が払えないために、病院にかかれない人は確実に増えています。特に働き盛りの若者は、受診する休みも会社から取らせてもらえないことが多いのです。しかも、このインターネット時代なのにマスコミも、SNSを駆使できる当事者の若者ですら経済的弱者を見向きもせず、触れようとしない(博愛精神が薄れ行く)風潮です。
セツルメント診療所は勿論医療機関ですし、私も一人の医師ですから、「健康」に主眼をおいていることは言うまでもありません。ですが、愛情とお金がなければ、本当に健康な生活、人生とは言えないのです。
そういう思いから、
①働いている方もかかりやすいように、日曜日の診療や、夜間診療を実施する
②ジェネリック薬品は勿論ですが、なるべく安く医療費が済むよう働きかける
③差額費用のない入院施設がある
④友の会、花を愛でる会などを組織して、地域住民の親交を深め、引きこもりにならずに済むような機会を作る
⑤無料法律相談を行い、相続や家族問題で悩んでいる人をサポートする
こういった特徴ある活動を地道に70年近く続けております。
現在、訪問診療は、当たり前になっていますが、私がセツルメント診療所にきた1990年頃には、とっくに往診診療を行っていました。(ですので私自身既に30年近く往診しています)
更には、儲からないという理由で数が激減した有床診療所を、何とか継続してきました。
セツルメント診療所は、その歴史の中からずっと地域の人達と共に、皆で健康に楽しく人生を送り、安楽に最期を迎え、平和な世の中を後世に伝えることが出来るかを考え奮闘してきました。
それは、今までもそうでしたが、これから益々必要となるものと確信しています。
どうぞ、皆さん、手を携えて一緒に頑張りましょう。
医療法人財団ひこばえ会
理事長 糸氏 亨